症例① 22歳 女性
他院手術歴 18歳時(2013年12月) 顔面全体に脂肪溶解注射(メソセラピー)を受けた。 21歳時(2016年2月) 大手全国展開の美容整形医院にてバッカルファットを除去された。 |
希望デザイン バッカルファット除去後に生じた頬のコケ、細面過ぎる輪郭と輪郭線の著明な左右差(特に右側がシャープ過ぎて逆三角形に見える)を治したい。右側の頬骨上の盛り上がりも気になる。 |
方法 VASER VentX 他院修正 通常モード脂肪吸引(全顔面) 吸引量:右65ml 左55ml |
Dr.コメント メソセラピー(脂肪溶解注射)は、溶解のムラやタルミ発症の問題があります。また、不適応の方に対してバッカルファットを摘出すると、比較的若い人なら頬がコケ、輪郭が不自然になり得ます。この症例では、その2種類の施術によって、何か所も同時多発的な左右差が見受けられました。頬骨の高さや輪郭線にそれが顕著に出ています。骨格を変えることなく脂肪や皮下組織の層の吸引だけで補正するには、フルオーダーのデザインと特殊な技術を要します。勿論、吸引脂肪を注入すれば更に目の下のクマやほうれい線の改善も見込めたのですが、年齢が若くて当時学生の方だったので御予算のこともあり、吸引技術と術後の線維組織減量などのアフターケアだけで、最大限の左右差改善効果をみることができました。 |
動画で解説
Kunoクリニック公式 YouTubeチャンネルではあらゆる美容整形について、当院が他院修正治療を行った症例や既存施術の問題点、当院での治療方法などを詳しく解説しています。
バッカルファットやジョウルファットは何故除去してはいけないのか?
バッカルやジョウルファットを除去(大半が不適応)すれば多くの場合、頬下部が更にコケてタルミが生じます。バッカルファット除去の真の適応は、例えば食事の際に頬の内側の粘膜を誤ってよく噛んでしまう様な方に(適量のボリュームを)除去すれば改善が見込める様な方のみです。
バッカルファットを安易に除去されてしまうと、比較的若い人なら頬のコケや輪郭の左右差が出やすく、年配の方や若い時に除去されて経年変化した場合なら、頬のコケやタルミが増大し、「アゴが外れたような間延びした輪郭」になることも少なくありません。セットメニューやフルコース、オプションにあっても、専門医に勧められても原則NGです。
そのコケやタルミを改善しようとして吸引やリフト糸挿入をされても却って凸凹になります。何故なら陥凹部の層と皮下脂肪の層(レイヤー)とが全く異なるからです。2023年、マイアミにある米国最先端と言われるベテラン美容整形外科医でさえ、「バッカルファット除去後の陥凹やタルミの修正は、脂肪注入では上手く治せない」とコメントされています。
陥凹層への安易な脂肪注入やヒアルロン酸注入も、技術が伴わなければ却って凸凹やタルミ・左右差の増大や不自然な表情になることがあるでしょう(尚、当院にはそれを超えた技術がございます)。
症例② 44歳 女性
他院手術歴 40歳時(2019年11月) 骨切専門医院にて、サージェファースト法(骨切り+チタンプレート挿入)を受けた。 42歳時(2022年5月) 大阪本院の美容整形医院にてバッカルファット除去およびメーラーファットパッド除去と顔面の脂肪吸引(頬下部+顎下+フェイスライン)を同時に受けた。 43歳時(2022年10月) 両側咬筋ボトックスを注入された。 |
希望デザイン 過去の顔面の様々な手術によって目立ってきた顔面の左右差やタルミを改善したい。特に顔面の中心軸に対してアゴが右側に寄ってしまっているのと、口の位置や鼻スジ、フェイスラインの左右差が目立つのを(骨を削らずに)治したい。 |
方法 VASER2.0 ART 4D 他院修正モード吸引(頬骨上~下顎)& 脂肪注入(取れた分まで無制限)& PRM1本& 1ヶ月後生着維持療法 現在経過診察継続中 吸引量:右51ml 左51ml |
Dr.コメント この症例は4年前に顔面の基部土台を構成する「下顎骨」を削り、再固定で顎変形を修正する手術を受けていますが、更にその後、頬下部の基部土台を構成するバッカルファット除去の手術を受けています。骨削りや骨スライドだけでも土台の欠落・移動分だけタルミが進行しやすいのに加え、更に(年配の方に対して不適応なのに)バッカルファット摘出までされると、一層コケやタルミが増し、顎関節が外れたような輪郭になってしまいがちです。これ以上骨格を変えることなく、脂肪吸引や皮下組織層の修正だけで凹凸や左右差が目立つ輪郭を補正するには、フルオーダーデザインと特殊なART 4D吸引&注入技術を要します。ついでにほうれい線も浅くなり(数ヶ月後には線維化減少で更に)小顔になり、表情も自然です。 |
特にバッカルファットは骨格・筋肉に次ぐ顔面下部の土台を構成する基部組織
バッカルファットはメーラーファットパッド・ジョウルファットと並び、頭蓋骨や表情筋群に次いで顔面の深部組織を構成する土台ですが、それらを「除去」するということは即ち、「顔面のダルマ落とし」をすることを意味しています。別人級の小顔にしてもらいたいがために、顔面の土台を減量してしまう手術を受けてしまうと(若い人なら仮に顔を小さくできたとしても)、数ヶ月から10数年経過するだけで輪郭の劣化が進行してきます。
何故なら「顔面のダルマ落とし」の後に、重力や洗顔の擦過刺激等によって皮下組織の表層ナダレが生じてくるからです。先述した通り、顔面の基部土台を構成する組織の層(レイヤー)と皮下脂肪の層とが全く異なるため、タルミが引き上がることが同時に起こり得ないからです。皮下組織にリフト糸を通しても、切開・切除を伴う(コメカミリフトを含む)フェイスリフト手術を併用しても、それらは稚拙で姑息な「すり替え」にしかなりません。
顔面を4D(立体構造+様々な表情の動き)で捉えた場合、頬に対して垂直に陥没した部位と重力下方に弛緩したタルミを、耳方向にのみ引上げて「自然な状態に」修復したり若返らせることには相当な無理(事実上不可能)があるからです。そして(マネキンではない)人間には豊かな表情(動き)が伴います。それも全てデザインに反映させなければいつまでも問題が続きます。
つまり「脂肪吸引」や「脂肪注入」の適切な4D修正技術や実績がない大抵の医院では、「自分の持っている手法で何とか代用・修正する」しか無く、そこに(ミスマッチ連鎖が生じる)無間地獄の入口が待ち受けます。
症例③ 50歳 女性
ここ3~4年間で体重が42kgから50kgに増えた。下記の既往の医院名は全て不詳。
他院手術歴 25歳時(1997年) 腹部脂肪吸引術を受けた。 46歳時(2018年) 頬にのみ大腿から吸引した脂肪を注入された。 47歳時(2019年) 眉下切開+糸リフト(片方7本ずつ)挿入術を受けた。 48歳時(2020年) 糸リフト(片方9本ずつ)挿入術を受けた。 49歳時(2021年) バッカルファット除去+糸リフト(片方15本ずつ)挿入術を受けた。 |
希望デザイン バッカルファット除去後に出現した口角横のシワ、溝、タルミ(面長輪郭)の改善と、ついでに可能なら顔面全体の肌質をも改善したい。ここ毎年糸リフトをしているが、なかなか効果が持続しないので今後糸リフトをしなくても済むようにできる方法があれば伺いたい。 |
方法 再生医療 全顔面フルプレミアム☆フルセット注入(上下腹部の修正脂肪吸引)&1ヶ月後生着維持療法 ※現在経過診察継続中 |
Dr.コメント バッカルファット除去後の陥凹やタルミを自然な状態に復元・修正するには、当院の技術適応では大別して「VASER ART 4D 脂肪吸引」と「4D リフトデザイン脂肪(脂肪幹細胞)注入」がありますが、この症例では顔面全体の肌質改善もご希望されていたため、術前のシミュレーションと御本人様との打合せで後者の適応となりました。尚、 当院オリジナル「脂肪や脂肪幹細胞を用いた再生医療フルプレミアム☆フルセット 4D リフトデザイン注入」の技術でも、陥凹部を適切に埋めながら面長輪郭をコンパクトに縮める半永久的リフトアップが可能です。年々エスカレートしながらも効果が不充分で長持ちしなかった糸リフトの呪縛からも解放され、腹部残存脂肪も修正し却ってコスパも満足度も高い結果になった様です。 |
バッカルファットやジョウルファット除去後の問題はどうやって治すのか?
そもそもバッカルやジョウルファット除去、糸リフトやHIFUの併用、ボトックス注射や脂肪溶解注射等、見かけ上のアンチエイジング専門や小顔形成MENUが豊富な医院が、決して“技術巧者” でも“専門”ではありません。例えば脂肪吸引と他術式を併用するのは、脂肪吸引単独の技術が未熟であるが故の蛇足でしかありません。その“専門性”を謳う医院の術後失敗修正相談が、令和の世になっても後を絶たないのです。
その理由は、同部位に他の併用(複合)施術をすると担当医でさえ予測不能な問題が生じ、その担当医自身でも治せないからです。美容医療や形成の現場で実際に起こっていることは、「貴方の場合、これもあれも施術すれば更に効果的です」「高額ですがフルコースや芸能人がした〇〇施術なら美も若返りも最大限です」という様なフレーズに、情報格差のある方は信じてしまいがちだということです。
実はそこに重大な落とし穴が待ち受けています。担当医がどんなに熱心で誠実だったとしても、専門医だったとしても貴方自身のお顔に最適な術式選択の適応と、それを叶える技術がなければ結局、「大金を払って、元よりも醜形・老化・不自然な輪郭や機能障害に陥る」という構図です。決して「自分だけは(この先生なら)失敗しない」とは考えない方が良いでしょう。