上瞼のクボミと加齢要素が加わった眼瞼下垂の治療
上眼瞼のクボミと加齢要素が加わった眼瞼下垂の方は、❷仮性眼瞼下垂で後天性の5大要因の内、主に上眼瞼陥凹(眼窩脂肪過少)症と挙筋腱膜の弛緩の要因が該当し、上眼瞼や前額のタルミ、皮膚の肥厚化も関与していることが多分にございます。術前シミュレーションを施すと、クボミがちょうどタルミで埋まる程度で済む場合には、新挙筋法のみで充分に治療が可能です。埋まらない場合には、上眼瞼に脂肪幹細胞を注入する手術適応になり、クボミを埋める以上の余剰皮膚があれば切除せずに上眼瞼マイクロ切開脱脂を併用すれば大抵治ります。若年性のクボミを伴う眼瞼下垂なら、殆どの方は脱脂や注入せずに良好な結果が得られています。
眼瞼下垂、メスを使わずに治したい!
症例① 34歳 男性
他院手術歴:なし |
希望デザイン 上眼瞼陥凹・眼瞼下垂改善目的で他の代替方法が無い。 |
方法 両側 新挙筋法2針4点固定法 |
Dr.コメント 上まぶたのクボミを伴う眼瞼下垂の典型例です。クボミが深いとなぜ眼瞼下垂になりやすいかと言えば、挙筋に連動する挙筋腱膜のリーチが比較的長くなり、上眼瞼眼窩脂肪との間で滑車の原理が働きにくくなるためではないかと当院では考えています。(事実、上眼瞼陥凹症の方の陥凹部に、僅かな脂肪やヒアルロン酸を注入すると却って開眼度がUPすることがあるからです。無論、注入過多では瞼が重くなってしまいますので逆効果です)弛緩または駆動が睫毛まで伝わりにくくなった挙筋腱膜を短縮し補強することができるのが、当院オリジナルの新挙筋法の本領です。この方の場合、左側の陥凹が右よりも深く、余剰皮膚を折畳んでもまだ陥凹度がやや上回っていたため僅かなクボミが残りましたが、御本人様が注入を希望されずこれで御満足されたため(開眼が生まれ変わった様に楽になったそうです)終診となりました |
症例② 45歳 女性
他院手術歴:なし |
希望デザイン 瞼の陥没、タルミを改善し、睫毛を挙上し瞼の開眼度をアップしたい。二重ラインをはっきりさせたい。 |
方法 両側 新挙筋法2針4点固定法 |
Dr.コメント 皮膚のタルミとクボミが進行してこの状態のまま放置するとやがて、眉を挙上しなければ充分な開眼が得られないために次第に目を見開く度に眉が挙がってきてしまいます。若年性眼瞼下垂とは違って、視界が広い時を体感で知っているため脳が無意識に調整しようとして、気づけば前額の横シワも増える一方になってきます。また、一般的に老化が進行すると40代からでもコメカミが痩せてきて(凹んできて)、その分目尻側の上眼瞼のタルミが進行し、だんだん三角形の目になってきます。この症例では皮膚の厚みがギリギリ折畳むのに適していたので脱脂をせずに新挙筋法のみでうまく眼瞼下垂を改善させることができました。クボミとタルミと皮膚の厚みを緻密に計算して、常にデザインしています。 |
症例③ 35歳 女性
他院手術歴:なし |
希望デザイン 眼瞼下垂を改善したい。眉を挙上させる癖がつき額のシワも気になってきていた。 |
方法 1回目:両側 新挙筋法(1針2点固定) 2回目:左側 新挙筋法(2針4点固定)・右側(1針2点固定 追加) |
Dr.コメント この様なタイプの眼瞼下垂では、上眼瞼のタルミがクボミの程度に過不足なくフィットすれば脱脂や注入は原則不要です。この症例では蒙古ヒダのツッパリが比較的強い目でしたので、結果的に計2回の新挙筋法で根治を図ることができましたが、1回目で眼瞼下垂が万一再発しても「絶対に全切開をしない」ことが大変重要です。「1の矢が外れたら2の矢を放て」の如く、2回目の新挙筋法が1回目の埋没糸(必ずしも完全に再発したのではなく、少しだけ緩んでいるだけのケースが大半ですので)の更なる補強となり得ます。しかも、1回目の挿入層や位置とは敢えて少しずらして挿入しますので、(露出や感染さえ起こっていなければ)1回目の埋没糸を抜去する必要もありません。 |