バストの左右差が著明なタイプの方へ
バストに左右差があると言ってもその原因と形状は千差万別十人十色です。胸郭を形成する骨格(背骨・肋骨・胸骨)・大胸筋・乳腺や副乳・乳房皮膚の伸展度・乳腺下の脂肪層の厚みや形・乳輪乳頭の形状・豊胸歴(残存異物)の有無などの要因が複合的に合わさっています。
例えば背骨が湾曲していれば立位でバストの上下の位置が非対称になり、注入でそれだけを無理に合わせようとしてバスト下縁ラインが仮に合ったとしても、今度はバスト下半球(乳頭から乳房下縁まで)の縦の距離に別の差が出てきます(こちらを立てればあちらが立たずです)。
鳩胸・樽状胸・漏斗胸・肋骨の欠損や陥凹、なで肩や錨肩等、骨格一つとっても個体差が様々です。骨格はバストにとっても土台になるため、かなり重要な要素です。「美しいバスト」である条件(※)の一つに、「左右対称であること」があります。
しかしながら人間は姿勢が常に美しい訳でもなく、利き腕に偏る特定のスポーツや仕事、授乳や下着の圧迫等で後天的にも左右差が生じてしまう環境に晒されています。多少の左右差も個性の美として容認範囲ならOKですが、ここでは「もしも同じ豊胸術をするなら・・・」という仮定で重要なポイントを述べておきます。
(※)「美しいバスト」である条件については、当サイト別記事「徹底比較!豊胸手術の方法5選!理想のバストを手に入れるために知っておかなければならないこと!」をご参照下さい。
症例① 27歳 女性 授乳歴なし 58.0㎏
他院手術歴:なし |
希望デザイン 太もも細くしたいのと、自分から取れた脂肪(幹細胞)を注入して豊胸したい。今よりも2カップくらいバストアップしたい。 |
方法 フルセット注入(注入量:右・356ml 左・330ml) バストサイズ:OP前 T:75.2㎝ U:67.2㎝ AA cup → OP後(19M)T:80.7㎝ U: 67.2㎝ B cup |
DR.コメント 2008年2月に初回手術をした症例です。両側の乳頭の向きが異なるタイプの左右差著明の典型例ですが、谷間を寄せようとすると左右差がより強調されてしまいます 。また、バストの輪郭線にも左右差があり、右乳房は乳腺が突出していて境界付近に段差が認められます。授乳歴がなく皮膚伸展度も限られていました。当時の当院の再生医療はまだ発展途上でしたが、注入技術は約6年間の修行を積んでいたため、谷間形成や左右差改善デザインをご本人様の皮膚伸展度や骨格等の諸条件に合わせてオーダーメイド注入を行っていました。突出した乳腺の段差もデコルテとの連続性もなだらかに形成しています。この方に行った「フルセット注入」とは、脂肪幹細胞を含む自己組織の要素が全てフルに入っているという意味で、PRPやPRMはご希望者を除いてまだ全例に混和されていませんでした(この方は3ヶ月後に1度だけPRMのみ追加注入されています)。術後、寄せると谷間が一直線で両側乳房の大きさや形が揃って見えることが左右差も改善されている一つの目安になります。 |
豊胸時に左右差を改善するポイント
症例② 32歳 女性 授乳歴あり 46.0㎏
他院手術歴:なし |
希望デザイン バスト上部~デコルテのボリュームダウンを改善したい。外向きのバストを内向きにしたい。 |
方法 生体内再生豊胸術 フルプレミアム☆フルセット注入 注入量:右・348ml 左・350ml バストサイズ:OP前 T:84.2㎝ U:73.3㎝ A cup → OP後(3M)T:89.4㎝ U:74.0㎝ C cup |
DR.コメント 2010年9月に初回手術をした症例です。両側乳房のタルミ程度が異なるタイプの症例ですが、年齢と授乳歴から考えるとよくありがちです。しかしこの状態から限りなく左右対称なバストの形状にするには幾つかの特殊な注入テクニックが必要です。注入量に差をつけるというよりも、1回の注入毎に皮膚の伸展度を見ながら適所に配分しつつ形を創ってゆく工程が必要です。終盤になると、残りの注入量を逆算しつつ左右交互に注入して微調整してゆきますが、この症例では結果的に左右同じ程度の注入量で終了しています。より厳密に言えば、注入している層や範囲が左右で異なっていて、例えば右側乳房下縁を起こし上げる量は左側に比べて多く必要で、左側のバスト全体を前方に持ち上げるには右側よりも左側がより多い脂肪量を要します。乳房下縁がせり上がり乳頭が下向きにならない様に、硬い皮膚を丸みを帯びた形状にも形成しています。そして経験的にある程度術後の安定期後の生着率まで予測しながら、術後の維持療法でも改善や微調整をして仕上げてゆきます。 |
症例③ 31歳 女性 授乳歴あり 45.7kg
他院手術歴:なし |
希望デザイン 自分のバストサイズがブラジャーサイズのC cupだと思っていて豊胸手術でD cupくらいになりたいと思っていたが、実測値だとA cupしかなかったので、何とか目標に届くようにして欲しい。 |
方法 生体内再生豊胸術 フルプレミアム☆フルセット注入 注入量:右365ml 左350ml バストサイズ:OP前 T:72.5㎝ U:61.8㎝ A cup → OP後(4M)T:78.0㎝ U:60.5㎝ D cup |
DR.コメント 2020年8月に初回手術をした症例です。両側乳房の骨格とタルミ程度が左右で異なるタイプの症例です。左肋骨がやや沈んでいて乳頭が外側に向いているように見えます。その結果谷間がハの字に乖離している様にも見えますが、注入配分をする際に(実は谷間を深く形成しようとして中央付近に大量に注入していしまうと、余計にバストが外を向いてしまうため)外側外縁に多く注入しなければなりません。また、この症例では乳房下縁の厚みにも左右差があり、谷間を寄せるポーズをとると陥凹線が出現してしまいます。従って、デザインは上記の如くになっています。更に右側のバストが一見大きく見えるのですが、実際に組織量を多く注入したのは右側です。外側外縁の陥凹度と面積が、左と比べて勝っていたからです。この様に、左右差改善とは言っても乳房の上下左右の位置・高さ・骨格・皮膚伸展度とタルミの程度・乳腺の厚み・乳輪乳頭の形状等の要素が各個体で複雑に合わさっているので、立体イメージを人工知能の如く精緻に実現できる技術が随所に駆使されています。 |