バストの下垂が著明なタイプの方へ
下垂バストの原因は、急激な体重減少や授乳、F cup以上の巨乳であることや皮膚が薄くて柔らかいことなど様々ありますが、原因以上に程度と形状はもっと千差万別です。「美しいバスト」である条件(※)の一つに、「下垂やシワがないこと」があります。しかしながら乳房は本来、乳幼児に授乳するための臓器でもあり、機能重視であるなら多少の下垂も「役割を充分に全うしたのだから」と容認範囲ならOKですが、ここでは「もしも同じ豊胸術をするなら…」という仮定で重要なポイントを述べておきます。
(※)「美しいバスト」である条件については、当サイト別記事「徹底比較!豊胸手術の方法5選!理想のバストを手に入れるために知っておかなければならないこと!」をご参照下さい。
症例① 42歳 女性 授乳歴なし 46.0㎏
※体重が最近10㎏程減少した症例


他院手術歴:なし |
希望デザイン 下垂した胸を改善したい。骨ばっているデコルテも左右差もできれば改善して欲しい。 |
方法 フルセット注入(注入量:右・325ml 左・340ml) バストサイズ:OP前 T:77.5㎝ U:65.8㎝ A cup → OP後(3M)T:88.7㎝ U:65.1cm F cup |
DR.コメント この記事では敢えて注入直後の写真を御提示しましたのは、個別のオーダーメイドデザイン注入がどの様にされているのかをご覧頂くと同時に、従来の第二世代である脂肪幹細胞注入の生着率が低かったのかも合わせて供覧頂けるものと考えたからです。この症例は2008年1月(開業2ヶ月後)に当院で初回手術を行った方です。当時の当院の技術はまだ再生豊胸術も試行錯誤中であった頃でした。従って生着率はまだ発展途上であることを考慮に入れて下さい。しかしながら注入技術に関しては、それ迄約6年間の修行を積んでいましたので「下垂をリフトアップさせるためのデザイン注入」「左右差を改善させるためのデザイン注入」を、この方に適合した術式で施しております。生着率は現在の技術に劣るものの、(特に左側の)リフトアップと左右差改善に関しては、術前のイメージ通りにできていると思います。皮膚伸展が良かったため実は生着安定後のカップ数も1回の手術で4cupもUPしています。尚、第四世代の新技術で高度な生着率を誇る施術の詳細は、下記リンク先をご参照下さい。 |
下垂バストを改善させる方法(手術)選びのポイント
症例② 48歳 女性 授乳歴なし 58.5㎏


他院手術歴:なし |
希望デザイン 下垂してVolume UPしたい。人工物ではなくて自己組織で豊胸したい。 |
方法 フルセット注入(注入量:右 352cc 左 352cc) バストサイズ:OP前 T:79.7㎝ U:74.1㎝ AAA cup → OP後(3M)T:84.8㎝ U:73.8cm A cup |
DR.コメント この症例は2010年8月に当院で初回手術を行った方です。この方のご予算やご希望により、フルプレミアム抜きのフルセット注入(脂肪・幹細胞・線維芽細胞等の自己組織のみ)を致しましたが、術後の生着維持療法もされないまま2ヶ月経過していたため生着率が思う程伸びなかった症例です。術後の生着維持療法は、過去全症例のDATAが示す通り、同じするなら生着率グラフの減衰曲線でいちばん急勾配で下がるタイミングである術後4週間後前後(1ヶ月後)が最も望ましいでしょう。このタイミングで生着維持療法をすれば過去全症例の平均で2ヶ月後のバストサイズは殆ど変化せず、2ヶ月後にも2回目の生着維持療法をすれば、同様の当院平均DATAではバストサイズがV字回復してUPしています。 維持療法を受けたとしても生着率に悪影響する他の要因は、術前からの異物残存(豊胸歴のある方)や術後早期の血種、生着が安定する術後3ヶ月の間に大幅な体重減少や下痢、栄養不足や偏り、過度な大胸筋の筋トレ、喫煙のしすぎやピル・豊胸サプリの服用などが挙げられます。 |
再生豊胸術 生着率 UP/DOWN に影響を与える要因
上記要因以外に勿論、術者の手術手技による要素も大きく、例えば他院の「再生医療による豊胸」や「コンデンスリッチ方式」では、吸引脂肪から幹細胞を分離しなければならないとの観点から繊維溶解酵素のコラゲナーゼを混和し、吸引脂肪ごと高回転の遠心分離機にかけて、脂肪幹細胞や自己組織の濃度を高めることに腐心するあまり、却って人工的に吸引脂肪や脂肪幹細胞を破壊し、自然配合比率でない細胞の偏りを生じせしめ、結果的に低生着率のジレンマに陥っています。最も大きな相違は、他院では術後の生着維持療法(当院発祥技術)を全くなされておらず、注入された脂肪幹細胞が術後勝手に増えてくれると誤った認識のままでいることです。
事実、当院では他院の再生医療(幹細胞)豊胸を謳う医院の術後修正手術も多く、他院手術で発症したしこりの治療からしなければならないケースも少なくありません。同時に、左右差改善や谷間形成、神経損傷の回復や残存被膜の治療等、同時に解決しなければならない問題点が多く見受けられます。
一方で最近では凍結保存や分化誘導剤による体外培養をするところもでてきていますが、更に大きな問題点を孕んでいると当院では考えています。凍結保存は高いコストの割に、細胞の鮮度と質、生存率が下がります。そしてそれを補おうとして更に高いコストをかけて分化誘導剤や体外培養液に浸す発想が出てきていますが、(モルモットや試験管内の実験でエビデンスが仮にあったとしても)、モノクローナルに増殖した細胞が乳房内で正常で自然な組織を形成するのか、つまり脂肪細胞・血管内皮細胞・線維芽細胞・細胞間質・毛細血管・Scaffold等のミクロレベルの役割を担う各細胞が自然分布の組織を構成するのか、使用する分化誘導剤が混入されたまま豊胸で乳房内に注入されると、浸透して乳腺に作用し発癌性をもたらさないか、癌化せずともシコリが発症したり細胞の疲弊や老化が進行しすぎないかという問題があり、未知のリスクを伴う壮大な人体実験になるのではないのかと考えざるを得ないのです。少なくとも、私の身内に対しては絶対に勧めません。
症例③ 37歳 女性 授乳歴あり 54.6kg


他院手術歴:なし |
希望デザイン シリコンバッグやプチ豊胸以外での豊胸術を希望。 |
方法 1回目:プレミアム脂肪注入(注入量:右 316ml 左 300ml) 2回目:プレミアム脂肪注入(注入量:右 376ml 左 340ml) バストサイズ:OP前 T:76.5㎝ U:69.0㎝ AAAcup → OP後(3Y2M)T:83.7㎝ U:70.5㎝ B cup |
DR.コメント この症例は2009年5月に当院で初回手術を行った方です。下垂の程度に左右差があり、症例①と同様に「下垂をリフトアップさせるためのデザイン注入」「左右差を改善させるためのデザイン注入」を、この方に適合した術式で施しております。直後の写真は2回目の手術時のもので、左右それぞれの皮膚の伸展度に合わせた結果、左右異なる注入量となっています。ご本人様のご希望により、当初はプレミアムだけを加えた脂肪注入を行いましたが、術後の生着維持療法よりも2回目の手術を17ヶ月後に予定しておりました。AFTER写真は2回目の手術の更に7ヶ月後の写真です。当時はまだ再生医療や脂肪幹細胞の認知度が低くて1度の高額な手術よりも口コミ等で2回の脂肪注入の方がコストに見合うと考えられたのかも知れません。しかしやはり第二世代の脂肪注入技術ですので、濃縮脂肪幹細胞(コンデンスリッチ)も伴わず生着率は今一つですが、2回の手術でAAAcup→Bcupへと3cupの効果があり当時の技法では平均的な結果です。維持療法は1ヶ月後に1回のみでした。 |