ヒップラインを薄くする、または無くすのはもっと難しい
10年前、グラビアモデルの下半身の後ろ姿の写真をご持参されて「こんな後ろ姿にしたい」とご希望される方がいらっしゃいました。曰く、「ヒップラインを薄くしたい」とのこと。その写真を見ると臀部から大腿後面にかけて凹凸が少ない連続した肢体でしたが、両内側の境界部には短くて浅いヒップラインがありました。水着やレオタードを装着した際に「映える」らしいのですが、「水着の境界線からお尻の肉が食み出ない様にしたい」というニュアンスの様でした。
このご要望を美容外科的観点から手術手法の選択や細かい手技の変換、個体に合わせたアレンジ等の具体的なプランを考えなければなりませんでした。何故なら、そんな手術は当時まだ誰もしたことが無い手術だったからです。
ヒップライン形成はVASERが当院に導入された2009年以前からある程度の技術の積み重ねがありましたが、メインヒップラインを打ち消すとなると、吸引のみではうまく打ち消せないか、ダブルヒップラインやトリプルヒップラインになることも別の左右差や枝分かれ線等が出現することもあります。かといって、ヒップラインに脂肪注入をしたとしても今度は大腿四頭筋や大臀筋の動きに連動した括れ線を境に注入脂肪が捌けてしまうことも充分に予想されます。
そこで、先ず水着の境界線からお尻の肉が食み出ないことを第一目標にして結果的にヒップラインが限りなく浅くなる様に、ヒップライン上下の皮下脂肪をヒップラインの深さに合した㎜単位の吸引を施すことにしました。このエピソードとその後の技術の改良の連続が、当院でしかできない手術である証左となりました。
症例① 46歳 女性 51.6kg 体脂肪率25.0%
他院手術歴:なし |
希望デザイン 豊胸を自己組織で行うために大腿後面の脂肪吸引をご希望されるが、ついでに下臀部のはみ肉も少しスッキリさせてヒップアップしてもらいたい。 |
方法 VASER VentX 通常モード吸引(大腿後面)+バストフルプレミアム☆フルセット注入 吸引量:右650ml 左650ml |
Dr.コメント 2011年当院にてVASER通常モードを用いて、下臀部のヒップライン直上部から大腿後面にかけて豊胸目的とヒップラインを浅くする目的で脂肪吸引手術を行った方です。水着を着た時の所謂「食み肉」を軽減させて結果的にヒップラインが浅く短くなった症例ですが、この当時はまだ技法として試行錯誤中でした。しかし、下臀部の食み肉がほぼご希望通り無くなったとのコメントを戴きましたので、目的は概ね達成された御様子でした。吸引手術範囲に「臀部全体」や「下臀部」をオプションでご希望されていれば、もっと効果やクォリティーが出せたでしょう。 |
臀部や大腿の脂肪吸引で事前に名医を見抜くポイントは?
元々大腿後面と臀部はフィジカルに連続している部位ではありますが、ヒップラインを境界として立体的な構造が変化している部位でもあります。大抵、傷跡が目立たないヒップライン上に吸引孔を1カ所に設けて上下で異なる立体イメージに基づく吸引をしなければならない箇所ですが、この両部位に跨る脂肪吸引で他院にて失敗される典型的なパターンとして幾つかの共通要因がございます。
❶吸引孔の痕跡(傷跡)が適切な位置に付けられていないこと
❷術者と御本人様との間で術前に充分な打合せがなされていなかったこと
❸術前にオーダーメイドデザインがなされていなかったこと
❹術中や術直後の確認がなされていなかったこと
❺術後の圧迫固定が不十分だったこと
などが挙げられます。これらの事実は全て御本人様達からの聴収で判明していることですが、同時にカウンセリング時にご本人様による予測が困難なことでもあります。手術直前に気付いても「まな板の上のコイ」状態になってしまうので、その様な失敗を避けるためにはせめて、
①カウンセリング時に貴方自身の身体で診察を受けること
②具体的にどの様な修正技術で手術を予定されるのかを尋ねることと
③術者による過去の似た症例の実績を幾つか見せてもらうことまでは最低限しておかなければなりません。
④2ndや3rdオピニオンを求めて複数の医院に出向くことをお勧めします。
実際に当院で手術を決断された方の多くが、そうされていました。
症例② 20歳 女性 42.0kg
他院手術歴:なし |
希望デザイン バストを大きくしたい。一番脂肪のありそうな太ももの後ろから吸引して欲しいが、ついでに左右差があるヒップラインそのものを目立たなくさせて欲しい。 |
方法 VASER2.0通常モード吸引(大腿後面)+バストフルプレミアム☆フルセット注入 吸引量:大腿裏(右500ml 左500ml) |
Dr.コメント この方も2010年当院にてVASER通常モードを用いて、下臀部のヒップライン直上部から大腿後面にかけて豊胸目的とヒップラインを浅くする目的で脂肪吸引手術を行った方です。体重が42㎏しかなかった割に、この部位から豊胸に充分な脂肪が採取されました。この方はモニター契約をしたにも拘わらず、術後1ヶ月目までしかご来院されておりませんでしたが、術後1ヶ月でこれほど経過良好でしたので予後はうまくいきそうです。傷跡も目立たなくなってゆくでしょう。吸引手術範囲に「臀部全体」や「下臀部」をオプションでご希望されていれば、もっと効果やクォリティーが出せたでしょう。 |
臀部脂肪吸引修正or注入でのNG手術とは?
※ページ最下段 美容整形Dr.選びのNG例とは?に加えて
- 診察時に臀部陥凹部の触診 or 皮膚の伸展度をシミュレーションしない
- 吸引部の陥凹の原因が、癒着なのか取りすぎなのか判断を間違う
- 各人の大腿の動きや大殿筋量を計算に入れたデザインをしない
- 吸引された同じ層に大量のヒアルロン酸や脂肪の注入を勧められる
- 臀部用シリコン(感染や痛みのリスク高)を挿入することを勧められる/li>
等、上記どれか一つでも当てはまれば申し込まずに思い留まって下さい!
臀部の脂肪吸引で失敗されるとこうなります!
当院で臀部の他院脂肪吸引後の修正をした方の中には、左右差が(元よりも)悪化するに留まらず凸凹やタルミ、シワが増えて一気に下垂した方や、水着が着れなくなった方、坐骨神経痛になって治らなかった方、ダブルヒップラインや臀部外側が男性の臀部の様に陥凹が見られた方等がいらっしゃいました。どんなに有名なクリニックでも慎重にDr.を選んで下さい。臀部や大腿の脂肪吸引は、デザイン時からAIの様な正確な予測と4D(3D+動態)で吸引や注入が、完全にオーダーメイドで正確にできなければうまくゆきません。
症例③ 27歳 女性 53.7kg
他院手術歴:なし |
希望デザイン 脂肪幹細胞等の自己組織で自然に胸を大きくするため太ももの脂肪吸引をしたいが、ヒップラインは敢えて創りたくない。特に太ももの外側と内側の余分な脂肪を取って欲しい。 |
方法 VASER2.0通常モード吸引(大腿後面)+バストフルプレミアム☆フルセット注入 吸引量:右750ml 左750ml |
Dr.コメント この方も2016年当院にてVASER通常モードを用いて、下臀部のヒップライン直上部から大腿後面にかけて豊胸目的とヒップラインを浅くする目的で脂肪吸引手術を行った方です。元々ヒップラインの陥入が殆ど無い方で、冒頭に述べた10年前の「グラビアアイドルの水着姿写真」の様な肢体でしたが、ご本人様の仰る通り大腿外側と内側にやや余分な脂肪がついていましたので、そこを重点的にしかしヒップラインの陥入を避ける様にオーダーメイドデザインで吸引しました。ヒップラインを形成しない場合の欠点は傷跡が隠れにくいという点です。この症例では色白でしたが傷跡はあまり目立っておりませんでした。 |