痩せているタイプ(特に体重が40kg前後で、他院で脂肪吸引を断られた方)の方へ
痩せている方は一般的にバスト乳腺下層や乳腺周囲にも充分な脂肪層に恵まれていない方が多く、シリコンバッグを挿入される場合にはシリコンが不自然に浮き出てくることを避けるあまりその多くが大胸筋下層への挿入をされてしまっているのが現状です。しかしながら、大胸筋下層へのバッグ挿入により経年変化で肋骨陥凹が進行することもしばしばあり、元々華奢な体格であるにも拘らず胸腔内腔容積が減少することも想定しておかなければなりません。心肺機能抑制や胸郭の変形、シリコンバッグの破損やその兆候があればすぐに抜去の適応になり得ます。加えて、フィラーによるプチ豊胸もハイリスクであるため(※)学会でも推奨されていません。
一方、体重が40㎏前後の方は脂肪などの自己組織による豊胸を検討しても、「痩せていて脂肪吸引ができないかできても僅かな脂肪しか注入できない」と、他院で言われているケースが殆どの様です。脂肪吸引と自己組織移植による豊胸の技術が伴っていない医院で、率直に断られたのであれば、まだそこは良心的です。問題は、吸引技術が拙くても無理に吸引することで凸凹やタルミ、左右差などの不可逆的合併症を併発したケースや、大範囲3部位以上(例:大腿全周+全腹部+腰部)の吸引が絶対に必要だと言われて高額な手術費用を請求された挙句、肝心なバストが1カップもアップしなかった事例が実際に存在していることです。
腕の悪い排水管修理工や弁護士、ナビもなく道を知らないドライバーが運転するタクシー料金が標準よりも高額になることがあるのと一見同じですが、美容整形では被害が図り知れません。前者のケースでは修正が困難で、後者では豊胸の再手術の可能性も奪われてしまいかねないのです。特に自己組織による豊胸では、痩せている方こそ豊胸(生着率を最大限に引き出せる技術)も、吸引(合併症を起こさず必要かつ充分量の吸引ができる技術)も最高峰の技術が必要なのです。
手術に伴う少量の出血でも貧血症状が出やすく、麻酔薬による中毒症状や自律神経系の不調、術後の体力回復期間も全て考慮に入れた安全対策も勿論必須です。そして何よりもそんな思いをしてまで受けた手術で失敗でもされたら残存脂肪の余力が少ないだけに一世一代の真剣な御検討をして下さい。
(※)「フィラーによるプチ豊胸もハイリスク」
→「徹底比較!豊胸手術の方法5選!●理想のバストを手に入れるために知っておくべきこととは?」に詳細が記載されています。下記リンクよりご参照下さい。
症例① 31歳 女性 授乳歴なし 145㎝ 39.4㎏
他院手術歴 28歳時:両側乳房内にヒアルロン酸注入 |
希望デザイン ダイエットしても効果の無かった下半身を細くしたい。減るばかりのバストと臀部上部のボリュームをアップしたい。ついでにお顔にもアンチエイジング目的に、再生医療をしてもらいたい。 |
方法 1回目:残存ヒアルロン酸穿刺排出&ヒアルロニダーゼ注入&(バスト&顔面)フルプレミアム☆フルセット注入(吸引部位:大腿全周+下臀部) 注入量:右390ml 左380ml(上臀部注入 右140ml 左140ml 顔面への注入 11ml+52ml) 2回目:フルプレミアム☆フルセット注入(吸引部位:全腹部+腰部) 注入量:右150ml 左190ml(上臀部注入 右250ml 左250ml 顔面への注入 9ml) バストサイズ:OP前 T:75.4cm U:63.9cm → OP後(13M)T:82.9cm U:64.1cm |
DR.コメント この症例は2013年11月に初回手術、2014年1月に2回目の手術をした方です。初回手術時に両側に大きなしこりを触知したため穿刺とヒアルロニダーゼ注入を施しましたが、バスト内に微小Fillerが残存していたせいかしこりが再発したものの2013年12月経過診察の際に再穿刺を行い、2回目の手術を迎えています。当初より2回目の手術を生着が安定する3か月後に予定されていたため、1回目の術後では維持療法はモニターポイント温存のため敢えて行わず、2回目術後に計2回(2014年3月と4月)の生着維持療法を施しています。術後写真は生着安定後の2014年12月ですが、術前と比較してバストサイズが計約3cupアップしています。左側がやや下垂気味で形状の左右差があったものの、ボリューム差(ブラジャーへの収納具合や仰臥位での形状などで判断)がそれ程無く、配分注入しながらついでに谷間形成もデザインしています。皮膚伸展は比較的良い方ですが授乳歴が無く、手術MENU数も多かったためやはり2回に分けて手術した方が結果的に良かったと思われます。 |
痩せている方が脂肪注入などの自己組織による豊胸を検討する際の必須ポイント!
ここでは「もしも同じ豊胸術をするなら…」という仮定で重要なポイントを述べておきます。
(※)「体外培養は安全性が未確立」である詳細は、
→「徹底比較!豊胸手術の方法5選!●理想のバストを手に入れるために知っておくべきこととは?」に詳細が記載されています。下記リンクよりご参照下さい。
症例② 41歳 女性 授乳歴あり 151㎝ 36.0㎏
他院手術歴:なし |
希望デザイン シリコンやプチ豊胸等の異物に抵抗があるが、できるだけ低予算で自己組織による豊胸術を受けたい。 |
方法 自己組織による豊胸術 PRM1本+脂肪&脂肪幹細胞注入(吸引部位:両側 大腿表面のみ) 注入量:右251ml 左245ml バストサイズ:OP前 T:66.0cm U:61.3cm → OP後(3M)T:71.5cm U:60.8cm |
DR.コメント この症例は2009年12月に初回手術をした方です。吸引部位を大腿表1部位にご指定されつつ豊胸術もできるだけ低予算で行いたいとの当時の御本人様の御希望で、PRM入りの脂肪と脂肪幹細胞のみの注入(第二世代の自己組織豊胸術)を選択されました。勿論与えられた条件でベストを尽くすことを常に信条にしていますが、授乳歴があっても術前がフラットタイプのバストで皮膚進展度にあまり恵まれておらず、体重も36.0㎏しかありませんでした。大腿表は標準体重の人でさえ凸凹や筋肉稜線の顕在化、O脚や膝上のタルミ等の合併症が生じ易い部位なので、片方あたり250㏄前後の自己組織注入量を(PRPも混和せず)確保できただけでも、(これ程の悪条件が揃っている中では)善戦できた方だと思います。術後維持療法に関しては、 御本人様の御希望により1ヶ月目と2ヶ月目にそれぞれモニターポイント以内で収まるPRM1本のみの注入で済ませました。それでも結果的に1度の手術で3M(T-U)-PRE(T-U)=6.0㎝=2cup超のバストアップ効果が最終的に得られました。 |
痩せている方の豊胸(手術)選びのポイント
症例③ 25歳 女性 授乳歴なし 157㎝ 38.0kg
他院手術歴:なし |
希望デザイン 人工物による豊胸は望まない。本当は太ももから吸引した脂肪の方が量も多いのはカウンセリングで聞いて判っているが、気になっているお腹の脂肪を吸引してその脂肪でバストのサイズを1cup程アップしたい。限りある脂肪でも凹んでいるところや左右差の改善を重視したい。 |
方法 プレミアム2本+フルセット注入(吸引部位:ご希望により全腹部のみ) 注入量:右・140ml 左・140ml バストサイズ:OP前 T:71.7cm U:58.7cm → OP後(4M)T:74.0cm U:58.8cm |
DR.コメント この症例は2014年10月に初回手術をした方です。この方も吸引部位を全腹部1部位のみに御指定されつつ豊胸術もできるだけ低予算で行いたいとの御希望でした。PRM2本を加えた脂肪と脂肪幹細胞を含む自己組織のみの注入(第二世代の自己組織豊胸術)を選択されました。但し、術後の生着維持療法は、うまくモニターポイントを使用されて1ヶ月目と2ヶ月目にそれぞれPRP+PRMを行っています。術後に体重増加を図って頂けるとなお生着条件が良くなるのですが、元々痩せていらっしゃる方の中には「何を食べても太れない」体質の方もおり、生着している筈の脂肪や幹細胞も「太りにくい」細胞なのかも知れません。それでも過去には、赤ちゃんが飲む粉ミルクを毎日飲んで太れる体質に変わった方もいらっしゃいました。自宅で自分でもできる簡単な生着維持療法として粉ミルク療法も推奨していますが、メーカーによって中の成分が異なるのと、飲みすぎて下痢になり却って体重減少になることには注意が必要です。当院では各社成分表とレシピを全員にお渡ししています。 |