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メスを用いない顔面の異物除去「不溶性or不明Filler(充填剤)の除去」編

症例① 57歳 女性

不溶性フィラー除去症例1
他院手術歴
2002年1月~2003年2月の間に、日本の美容整形個人医院にて、充分なリスクの説明をされないまま、不溶性素材混入のヒアルロン酸(ダーマライブ)を顔面の至る部位に合計5本注入された。
希望デザイン
メスを用いずに顔面の至るところにある癒着や拘縮(コケや凸凹)を治して、注入された異物をできるだけ除去して欲しい。元の自然な顔面に戻したい。
方法
全顔面フルプレミアム☆フルセット注入(再生医療)&
特殊治療セット 計65回(2023年9月現在も加療中)
Dr.コメント
ダーマライブは現在使用が禁忌となっているFiller(充填剤)です。韓国でも集団訴訟されています。ヒアルロン酸に不溶性の生体不適合素材が混入されていて、微小の断片がクラスター弾の様に、顔面の皮下組織に無数に散りばめられ、同時多発的に癒着やシコリが永続的に残ってしまいます。その硬化や引き攣れを治そうとして切開・掻把・摘出等の手術をされてしまうと、正常組織ごとえぐり取られるため顔面の広範囲に障害を残してしまう恐れが非常に高く、大抵の外科医でも手が出せません。この方はここまで治すのに2011年6月から1~2ヶ月ごとの加療でも10年以上かかりました。右頬下部の陥凹の痕跡が多少残っていますが、御本人様曰く現在の輪郭が本来の自分らしい輪郭に近づいているとのことです。

プチ整形でもハイリスク!

溶解可能なヒアルロン酸注入でも、注入のされ方などによっては、感染(特にニキビやヘルペスの悪化)・周辺組織壊死・失明等のリスクがあります。脳梗塞が生じた例もあり、上記全てにおいてヒアルロニダーゼによる溶解だけでは治りません。
 

「プチ整形」という合成語が社会に浸透して20年以上経ちますが、新素材開発の名の下にどんどん新しい注入素材やFillerも開発されていますが、それら全てにおいて仮に一定のエビデンスがあったとしても、10年以上の長期的予後について殆どが未確認です。肉芽形成や組織変性、線維化や石灰化等の合併症が生じた時でさえ、確立された治療プロトコールは存在しません。従来法または他院ではせいぜい、もっと醜形で機能障害を来たす可能性が高い「切開・剥離・掻把・摘出」法やステロイド注射くらいです。

 

もしもシコリや機能障害などの後遺障害が出た時に、どんな治療法があるのか、実際に根治に至るのかまで確認しておく必要があるでしょう。「プチ整形」と雖も、決して気軽に受けられる美容医療ではありません。

症例② 55歳 女性

不溶性フィラー除去症例2
他院手術歴
2022年9月にテレビCMで最近有名になった大手美容整形医院にて経結膜脱脂術を受けた。その際目の下のクマの部分にヒアルロン酸と、血行のよくなる注射(スネコス注射)を混注された。
希望デザイン
注入したところが次第に膨らみ、特に右側の下瞼あたりに段差が出現したので切らずに治したい。
方法
右下眼瞼のみ 特殊施術セット(1回目)
Dr.コメント
初診時には混注されたものが「不明」と仰っておりましたが、施術日までに説明書が見つかり不明なものが「スネコス注射」であることが判明しました。ヒアルロン酸の単独注入でもシコリになることがありますが、同一部位に2種類以上のフィラーを混注されると、担当医でも予測ができない合併症を併発することが充分あり得ます。担当医が良かれと思っていても、御本人が「より美しくなりたい」と思っていても、やってはいけない禁じ手です。何故ならそれぞれの吸収率や膨張率、被膜形成度等が分子レベルで異なり、その担当医でも切開しなければ除去できないか、または全く治せないからです。

症例③ 57歳 女性

不溶性フィラー除去症例3
他院手術歴
34歳時:フェイスリフト手術
38歳時:糸リフト(吸収糸)
42歳時:両側眉下切開+FGF入りPRPを両側目の下(ゴルゴ線)に注入
希望デザイン
両側目の下のシコリを切らずに治したい。
ついでにその失敗分を取り戻すくらいに若返りたい。
方法
VASER最新型4D脂肪吸引通常モード(全顔面)&プレミアム脂肪注入&
特殊治療セット計9回
Dr.コメント
この方は当初目の下のゴルゴ線にのみFGF入りのPRPを注入されたと仰っておりましたが、脂肪吸引の術後に想定以上の癒着が生じたため、術後の頬の過剰な癒着部位に対して特殊治療セットを2ヶ月目からアフターケアした方です。
原因として考えられるのは、注入部位から(重力やマッサージなどで)顔面の下方にFGFが流出・浸透して線維化の過形成(過剰癒着、この方の場合は写真上の黒子の下あたりの部位ですが9ヶ月目で改善しました)が生じたという機序です。事実、他の症例でも同様に注入部位から周辺の組織に広がったのではないかと思われる事案が多数あり、最近増えてきています。
顔面のシコリ治療のリスク・問題点・合併症とそれらの対策
1.合併症や副作用と軽減または予防法
  • 局所麻酔の副作用は、アレルギーと麻酔中毒(頭痛・嘔気・眩暈・呼吸抑制・意識混濁などの中枢神経症状)が殆どで、アレルギーは問診や皮内反応で対応でき、中毒は手術を中断した上で点滴治療をすれば通常回復します。
  • 痛みや腫れ、内出血に対しては術前の前投薬(シンネック)で軽減されます。
  • 術後2~3日以内は打撲痛程度、その後数週間は筋肉痛程度の軽度の痛みが続きますが、通常全て軽快・自然治癒します。
  • 麻酔による腫れがひくのに通常は数日間、炎症による腫れや内出血のダウンタイム(治癒期間) は平均2~3週間程度です。
  • 線維化による癒着、凸凹、シコリ、ツッパリ感等は、術後数ヶ月の内に自然軽快しますが遅延や再発の場合には更に特殊溶解注射で治します。(難治性のものは数クールかかることがあります)
  • 傷跡は各穿刺部位に1~2箇所ずつ直径数mmの針孔がつきます。この針後は暫く残りますが数週間で目立たなくなります。目立たなくさせるために、施術直後から軟膏塗布と小テーピング約2-3日間を施します。
  • ごく稀に針孔が肥厚性瘢痕になることもあります。レーザーや日焼け、化粧品の混入などで色素沈着(シミ)が起こることもありますがこれも稀です。
2.ごく稀な合併症
  • 血腫、感染(化膿)、排液貯留、凹凸、タルミなどに対しては適切な圧迫固定と服薬等の注意事項遵守で予防します。
  • 血腫や排液貯留、感染が生じた場合(ごく稀)のダウンタイム(治癒期間)は更に数週間かかることがあります。
  • 数週間~数ヶ月続く神経鈍麻が生じた場合、治癒遅延が生じた方でも数ヶ月以内に自然軽快してきます。
3.禁止事項
  • 術前夜:飲酒をしないで下さい。
  • 術日朝:静脈麻酔を御希望の方は食事を控えて下さい。常用薬はカウンセリング時に服用是非をご確認しておいてください。
  • 術後当日:入浴・飲酒・刺激物摂取・運動 ・洗顔やクレンジング時の擦過(シャワーは翌日から可能です)。
  • 術後2~3週間:治療部のマッサージや殴打等。
4.術後の必須事項とした方がいいこと
  • 術後数日間×24時間はフェイスマスク装着や特殊スポンジでカバーした方がいい場合があります。
  • 施術後当日のみ 15分毎にクーリング(冷却) 15分毎と安静。
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