上瞼のクボミと加齢要素が加わった左右差のある眼瞼下垂の治療
クボミと加齢要素が加わった方は、❷仮性眼瞼下垂で後天性の5大要因である、挙筋腱膜の弛緩、上眼瞼陥凹症、上眼瞼や前額のタルミ、皮膚の肥厚化、裂傷や刺傷・そして眼瞼下垂手術(医源的眼瞼下垂)の内、主に上眼瞼陥凹(眼窩脂肪過少)症と挙筋腱膜の弛緩の要因が該当し、上眼瞼や前額のタルミ、皮膚の肥厚化も関与していることが多分にございます。術前シミュレーションを施すと、クボミがちょうどタルミで埋まる程度で済む場合には新挙筋法のみで充分に治療が可能ですが、左右差がある場合には先ずは左右個別にそれぞれ陥凹度・下垂度・タルミ度を計算に入れて左右異なる挙筋度で試みます。それでも埋まらない程左右差が顕著な場合には、上眼瞼に脂肪幹細胞を注入する手術適応になり、クボミを埋める以上の余剰皮膚があれば切除せずに少しだけ上眼瞼マイクロ切開脱脂を併用するか挙筋度を抑えれば大抵治ります。
眼瞼下垂、メスを使わずに治したい!
症例① 50歳 女性
他院手術歴:なし |
希望デザイン 他院の手術では皮膚切除により瘢痕ができて取り返しのつかない事態になるのではと思い手術の決心がつかなかったが、先生の術前説明が詳しく納得できたため当院で手術を決めた。 |
方法 両側 新挙筋法2針4点固定法(左右で異なる挙筋度) |
Dr.コメント 上瞼のクボミを伴う眼瞼下垂の中でも左右それぞれのタルミ度・陥凹度・下垂度が異なる顕著な例です。強いてそれぞれのGradeを数値化してみると、右側:タルミ度1/4 陥凹度 1/4下垂度 1/4であるのに対して、左側:タルミ度3/4 陥凹度 4/4下垂度 3/4 で表すことができ(当院独自のgrade表記です)、術前シミュレーションにて左側のタルミをクボミに埋めても尚、クボミ要因が勝る程度であると評価しました。全ての要因で左右差が最小限になる様に左右で異なる挙筋度を設定した新挙筋法のみで手術を行いましたが、概ね術前の御本人様のイメージ通りの結果になりました。術後は(特に左側の)挙筋に対して筋力トレーニングのリハビリを推奨すると、どんどん自力の挙筋力がUPしてきて完治に至りました。 |
症例② 32歳 女性
他院手術歴:なし |
希望デザイン 左瞼のタルミと多重ラインを改善して右瞼に合わせたい。 |
方法 左瞼 新挙筋法1針2点固定法 |
Dr.コメント この方は当時当院スタッフで、お客様の施術を見ている内に自分も手術を受けたいと申し出た方です。クボミを伴う眼瞼下垂の中でもごく軽度の症例でしたので、御本人の希望で1針2点固定で様子を見て万一再発したら再手術をすることになっていたのですが、終ぞ再手術をせずに済んでいます。本人が勤務中でもあったのと、(モニター写真公開はOKでしたが)術後の経過写真をつい撮り忘れていたため、術直後の写真しかありませんでしたが、腫れや内出血も殆ど無くすぐに勤務ができていました。術後に鏡を見るや否や「うそ!すごい!」と喜んでいたのを今でも覚えています。 |
症例③ 40歳 男性
他院手術歴 37歳時:全切開を伴う眼瞼下垂治療 |
希望デザイン 3年前の治療でも治らなかった右側の眼瞼下垂を根治させたい。 |
方法 右側 新挙筋法2針4点固定法 |
Dr.コメント 他院で3年前に受けた全切開を伴う眼瞼下垂手術(短縮術か前転法かは御本人様も聞いていないとのことでしたが)でも、何故根治できていなかったかと言えば、恐らく挙筋腱膜の短縮が上手くいかなかったか術後の硬化した挙筋腱膜や瘢痕が瞼の挙上の妨げになっていた可能性があります。或いは却って眼瞼下垂が悪化すること(医原的眼瞼下垂)さえございます。その場合、再切開は絶対に禁忌(NG)であると当院は考えます。切開瘢痕はかなり難治性であることもあり、この方も術後15ヶ月経過しても尚、右側の二重ライン幅が左側と比較して少しだけ広く見えていますが、僅かな線維性の瘢痕がまだ挟まっている状況です。蒙古ヒダのツッパリもあったため、互い違いのラインを1本化しながら開眼度を左側に合わせるための挙筋度を調整して、この方だけにベストマッチングする手術を行いました。 |