ダンゴ鼻、ブタ鼻、ダウンノーズ、アップノーズ、ピノキオノーズとは?
所謂「ダンゴ鼻」とは団子のように丸みのある鼻尖部(鼻の先端部)を俗に指し、「ブタ鼻」とは鼻全体と鼻孔が丸い形状でかつ鼻孔が正面から見えるほどに鼻尖部が挙上(※アップノーズ)している状態のことを指します。広義には鼻中隔根部が鼻翼外縁下部よりも上方に位置している場合もそう呼称されることがありますが、それは一般的にブタ鼻をジェスチャ―で示す際、指で鼻中隔根部を押し上げることが多いことに由来しています。美容医療の現場では、鼻中隔延長手術が鼻中隔根部を下方に下げるか丸い鼻孔を細長くさせる目的で適応となることが少なくありません。当院ではオリジナルの完全CLOSE法にて「鼻尖軟骨切除&再移植術」や、「人工コラーゲン=Sure Derm(シュアダーム)」挿入術で鼻中隔延長手術を行っております。「アップノーズ」とは、単に鼻尖部が挙上している状態のことを指し、逆に「ダウンノーズ」とは、単に鼻尖部が(時には太く)下方に下がっている状態のことを(少なくともここでは)定義しています。目安として真正面から鼻を見た時(鏡よりも真正面から撮影した写真の方が客観視できます)に鼻中隔根部が鼻尖部で隠れている場合や、両側鼻翼外縁下部よりも下方に見える場合等に(便宜的にここでは)そう呼称します。「ピノキオノーズ」とは、シリコンプロテーゼまたはその被膜拘縮、或いは特殊な太いフェザーリフトによって生じた鋭く尖ったアップノーズの異常な鼻尖部の形状を指します。
シリコンを使わずにブタ鼻、ダウンノーズ、アップノーズを半永久的に改善できるのか?
当院ではアップノーズやダウンノーズにすることを目的とした手術において、上記の(挿入数年後に被膜拘縮による変形が生じやすい)シリコンプロテーゼや(数年しかもたない)フェザー糸を用いずに、しかもオープン法ではなく完全クローズ法で半永久的に形成できる技法の開発に成功しています。主に鼻尖軟骨切除または再移植術により内固定の糸さえ用いずに形成するのですが、その秘訣は術前シミュレーションで得られた皮膚の伸展度に見合う鼻尖軟骨の摘出量や範囲と挿入の的確なデザインと術直後の圧迫固定です。所謂ブタ鼻やダウンノーズの場合には鼻中隔根部に再移植することもありますが、ご本人様のご希望や摘出組織と鼻中隔の形状にもよります。一般的に鼻尖軟骨を切除するだけでも丸い鼻孔が細くなる傾向がありますが、それだけで鼻尖部を確実に挙上or下降させられるわけではありません。軟骨除去した死腔(DEAD SPACE)を絶妙に癒着させる(だけで充分)か、再移植軟骨で補うかの 迅速な術中判断と、ギプスによる術後の目的に見合った適切な圧迫固定で形成します。しかも仕上がりの形状がアップ過ぎでもダウン過ぎでも、正面から見て鼻孔が見えすぎたりしてもNGで、横から見てもビーナスライン(鼻尖と上口唇とアゴ先端が一直線になる補助線)を極力満たしていなければなりません。ギプス圧迫固定の加減にも職人のコツと勘と経験とテクニックが要求されるのです。
症例① 21歳 中国人 女性
他院手術歴:なし |
希望デザイン 笑った時に膨らんで低くなる鼻尖部を、細くしながらアップノーズ気味に前方に出したいが、他人に整形したことが覚られない様な程度に仕上げたい。 |
方法 完全Close法 両側鼻尖軟骨切除&再移植術 TYPEⅣ+α |
Dr.コメント この症例は、特に笑顔の際に正面から見た鼻尖部が横に広がりながら低くなることを悩まれていた方です。このケースでは小鼻縮小を(先に)してしまうと却ってダンゴ鼻が余計に強調されてしまう形になるので、決して第一選択ではなく寧ろ鼻尖軟骨切除により小鼻の膨らみや鼻孔の丸みも一石二鳥で改善できる予見が得られたため、先ずは軟骨切除の適応となりました。加えて横から見て僅かにウェーブ鼻の凹凸があり当初当院独自MENUの鼻尖軟骨切除&再移植術TYPE Ⅳを想定しましたが、採取軟骨片に余剰があれば鼻尖部の死腔(DEAD SPACE)に対してもより確実にUP NOSEにするための挿入予定デザインを施しておりました。これが+α (=TYPE Ⅱの簡易版)としてDESIGN(黒縦帯部)していた箇所です。鼻スジを細く真直ぐに整えながら笑顔時にも鼻尖が広がらず、正面から鼻孔が見えすぎない程度で横顔ヴィーナスラインも満たす御希望通りの仕上がりになりました。 |
鼻尖軟骨切除&再移植術が他院MENUにない理由と背景
鼻尖軟骨とは、鼻尖部の形状を保つ1対の(概ねその人の薬指の爪大の大きさ)軟骨で、通常のレントゲンでは写らず所謂「ダンゴ鼻」の大半の原因になっている軟部組織です。民族によって、また日本人の中でも遺伝的に生得的な大きさ・形・厚みに個人差が大きく、生来より片方の形成不全(左右差)がある場合や、外傷や手術歴等で既に割れていることもあります。その鼻尖軟骨を除去する際に多くのクリニックではOPEN法を採用していますが、それはCLOSE法だと技術的に難易度が高くなるからであり、鼻腔内術野で上手く剥離・脱展しなければ皮膚や粘膜側に一部残留したり、手術操作で切断してしまうこともあり得る程、かなりデリケートな手技を要するのです。OPEN法がCLOSE法と比較してかなり安易であり、時間効率もよく形成外科でも伝統的に正当化している背景があります。
CLOSE法による鼻尖軟骨切除&再移植術が高難易度である理由
鼻尖軟骨の剥離途中から個人差と左右差と残留や破損がないか慎重に見極めつつ、鼻尖軟骨内側脚や鼻尖中央部の過剰切除をしない様に(過剰切除すれば鼻中隔が崩落することもあるため)必要かつ充分で事前デザイン通りの全容摘出をしかも余計な損傷なく遂行しなければなりません。加えて、摘出後の死腔(DEAD SPACE)が再移植に適した余地があるのかどうかも同時に(ほぼブラインド腔内ですが、触診や術中ライティング等で)視野に入れつつ、摘出標本をダイヤモンドのカッティング技巧の様に再移植部に適した形状にトリミングします。その際にカット面が鋭利にならず(穿孔予防のため)少しだけ肉芽片を残して移植後のFeedingを受け易い状態になる様充分に留意します。毎回出血が出る度に狭い術野が更に視界不良となりますが、たとえ出血が容易に止血できなくても電気メスによる凝固止血を安易に用いれば再移植軟骨へのFeedingに影響があるため、極力用いません。当院では、ご本人様の元々の鼻の形状とお伺いした御希望に対して忠実にオーダーメイド手術をするために、再移植するデザインを便宜的にTYPEⅠ~TYPEⅤに分類しています。この分類は当院独自のもので、過去の様々な方のご要望に応じてゆく内に適応や用途が広がって参りました。
実は、この再移植が最も難関で異物である糸も使用せず、TYPEⅠやⅡでは術後の傾斜や位置異常、TYPEⅢでは鼻中隔の後戻り予防、TYPEⅣでは鼻背(鼻スジ)の㎜単位の凹凸に完全にFitさせるカッティング、TYPEⅤでは陥凹部へ裏側からアプローチした菲薄層への必要充分のパッチワーク技術が必要になります。再移植後の鼻尖軟骨の生着率は大変素晴らしく、過去14年間の症例では現時点で一度も(耳介軟骨移植後の様な)鼻尖の硬化や変形が見られません。
鼻尖形成を完全CLOSE法でしなければならないのは何故か?
これら一連の手術操作を、OPEN法で行うのと、完全にCLOSE法で行うのとでは雲泥の差があるのです。敢えてボトルの中の船の模型で喩えるなら、ビンの底から模型丸ごと入れた後にガラス接合するのと、ビンの口からピンセットで模型を作成するくらいの差です。
OPEN法による傷跡はその方を一生涯苦しめます。女性ならヒゲで隠れることもなく、メイクでは大方隠しきれず、中には瘢痕の引攣れが強すぎて、笑顔になれなくなった方もいらっしゃいます。諸悪の根源はその手術を行った担当医の事実認識不足と修行不足と怠慢です。或いは営利主義か大学講義の形成外科が一番だと妄信しているかです。
症例② 32歳 米国籍 女性
他院手術歴:鼻の手術歴なし |
希望デザイン 鼻根部から鼻スジを少し高くして、重く下がった鼻の先端部も細くして挙上したいが、日本人として自然に見える様に(異物等を用いず、極端な西洋人鼻にもならない様に)したい。横から見た鼻スジの凹凸もこれ以上鼻が低くならない様に解決する方法があればお願いしたい。 |
方法 1回目:(御希望により)鼻スジへの脂肪注入 2回目:完全CLOSE法 両側鼻尖軟骨切除&再移植術 TYPE Ⅳ |
Dr.コメント この症例が当院オリジナルの完全CLOSE法両側鼻尖軟骨切除&再移植術TYPE Ⅳの第一症例の方です 。当初からの御希望に先ず「異物を用いず」とありましたので、最初は脂肪注入を施したのですが (写真「術前」は脂肪注入して約1年後のAFTERでもあります)約1年後に来日された際に今度は「重く下がった鼻の先端部も細くして挙上したい」という追加の御希望がございましたので、彼女のために新しい技術を開発しました。(というよりは彼女の御希望の全ての条件を満たす方法は逆にこれしかないというくらいに追い込まれました)その御蔭で新しい技術が誕生したのです。(尤も、TYPE Ⅰ~Ⅲは既に開発済みでしたが)生着率と固定の安定度も良好で年余に亘って海外から通院して頂いたこともあり、予後の確認も充分にとることができました。 |
鼻尖埋没(鼻尖結紮)法や溶解注射がダメな理由と背景
所謂「ダンゴ鼻」と呼ばれる、丸みのある鼻尖部を細くまたは高くする目的で各美容医院では様々な術式が見受けられておりますが、当院では鼻中隔切離を伴うOPEN法と共に、鼻尖を結紮(糸で縛るだけの方法)する鼻尖埋没法、埋没式鼻尖縮小術をNG指定しております。鼻尖軟骨のカタチや大きさは先天的に個人差や左右差もありますが、鼻尖部の外傷や手術でもすぐに割れたり粉砕し、或いは変形する程の(爪くらいの)厚みしかありません。
糸で結紮する手術は外側からと鼻腔内からのアプローチ法がありますが、いずれにしてもメスで切開が不要なことが多いため、術者も時間と経済効率から安易に選択しがちです。しかし、結紮糸が鼻腔内や鼻の表面に露出し感染を生じせしめる事案や、(これが最も多いのですが)鼻尖軟骨が結紮により割れ、その鋭利な割れ目が皮膚穿孔を生じたり、鼻尖部が(術後数ヶ月~数年経過して)硬く変形してきたりする後発的合併症を発症する例も後を断ちません。しかも、その様な合併症が生じなくても、90%以上の被験者の鼻尖部は、「結紮糸が緩む・(軟骨が割れて)喰込む」等の理由で後戻りしてしまうのです。
つまり、鼻尖結紮法は百害あって一利無しと当院では考えます。一方で鼻尖部の脂肪を溶解する目的でメソセラピー注射をされる医院もあると(お客様から)伺ったことがありますが、鼻尖部には解剖学上それ程の脂肪組織はなく、多少溶解できたとしてもその死腔が癒着してこその細さになる筈なのに、多くは圧迫固定がなされていません。逆に溶解注射後はかなり腫れますので、過剰圧迫してしまうと鼻尖壊死を生じることがあります。
鼻整形・形成修正でのNG手術とは?
※ページ最下段 美容整形Dr.選びのNG例とは?に加えて
- OPEN法や外側切開法を薦められる or 希望していない手術を薦められる
- シリコンやゴアテックス、リフト糸の挿入・異種動物軟骨移植を勧められる
- 耳介や肋軟骨(粉砕しても凸凹・拘縮・石灰化リスク有)移植を勧められる
- 貴方の鼻の皮膚伸展度に合わない程の挿入物を希望または挿入される
- 硬くなった壊死軟骨や癒着、肉芽等をそのままにした状態で修正される
- 抜去と同時にヒアルロン酸や脂肪注入(漏出変形リスク有)を薦められる 等、どれか一つでも当てはまれば申し込まずに思い留まって下さい!
症例③ 24歳 女性
他院手術歴:なし |
希望デザイン 鼻尖部を細く高くしたいのと鼻中隔のつけ根を下に下げ結果的に鼻を上に向けたいが、人工物も耳介軟骨移植術もOPEN方も絶対に嫌なので、それらを満たすいい方法があれば教えて欲しい。 |
方法 1回目:(御希望により)鼻スジへの脂肪注入 2回目:完全CLOSE法 両側鼻尖軟骨切除&再移植術 TYPE Ⅲ |
Dr.コメント この症例は、横から見ても両側鼻翼下縁よりも鼻中隔根部が奥まっていて、より確実にUP NOSEにするためには鼻尖軟骨の強度を借りる他はありません(SURE DERMは水分を含むとスポンジ状のSoftな素材なので、このケースでは第一選択ではないと判断)でした。例えば東南アジアの原住民が鼻ピアスをする際に容易に穿孔できる程の薄い鼻中隔に紙一重のスペースを(勿論穿孔させない様に)設けて、2枚重ねした鼻尖軟骨の平坦部をトリミングカットして完全クローズ法で挿入しました。薄氷を踏む様な思いで手術をしましたが、これが当院での鼻尖軟骨切除&再移植術TYPE Ⅲ の第一症例となりました。この一連の術式の中では最も難易度が高いTYPEです。 |
ワシ鼻や魔女鼻、矢印鼻、ウェーブ鼻、斜鼻、鞍鼻とは?
「ワシ鼻」とは、一般的に鼻骨縁が鷲のくちばしの根部の様に突出しているだけの様態を指すのに対して、「魔女鼻」とは明確な定義はありませんが、ワシ鼻+鼻尖部が下方に向けてテングザルの様に太く(だが先端が尖って)垂れ下がっている様を指し、「矢印鼻」とは文字通り正面から見て下向きの矢印型に見えてしまう形状で、鼻翼上部の括れ線がより明確+鼻尖部が下方に向けて矢印の様に細く垂れ下がっている様を指します。また、「ウェーブ鼻」とはワシ鼻~鼻尖部迄の鼻スジの稜線が低くなっていて横から見ると凸凹凸となっている様(当院で定義しました)を指します。「斜鼻」は文字通り鼻スジの正軸が主に正面から見て歪んでいることで、「鞍鼻」とは先天的または外傷が原因で鼻根部がフラットまたはそれに近い状態になっていることを指します。
鼻尖形成で失敗されるとこうなります!
鼻中隔を切断するOPEN法、または鼻翼外側に傷をつける手術、シリコンやゴアテックス・豚軟骨の移植、自己耳介軟骨や肋軟骨移植術、鼻尖を糸で結紮する手術を勧められた場合、その担当医がどんなに名医で有名でも、或いは過去の症例実績がどれほど素晴らしく自然で美しく見えたとしても、決してその様な手術は受けないで下さい。有名医師や鼻専門の医師の術後でさえ当院で鼻形成後の修正をした方の中には、当院の術前初見において、元よりも著しく醜形となっていた方が数多くいらっしゃいます。