耳介軟骨・肋軟骨・腸骨移植がダメな理由と背景
耳介軟骨・肋軟骨・腸骨等の自己軟骨や骨は、自家移植後、組織厚があるため中心細胞への血流遮断or血行不良等により壊死が生じることも少なくなく、人体にとって壊死組織は異物として処理されようとします。一方で、耳介軟骨等を粉砕して挿入する手技であってもやはり多発的壊死塊が生じれば、却って掻把困難になります。何れの場合も数か月から数年を経て異物応答反応と呼ばれる線維化・肉芽化・石灰化が生じ、やがて硬化・肥厚化・変形・皮膚穿孔・露出・慢性の発赤・変色・引き攣れやツッパリ感等の後遺障害となって、更に時間が経つ程に難治性へと移行してゆくこともしばしば見受けられます。
Q: 下記の組織片や異物はどの症例の摘出物でしょうか?
→正解はこのページ内に記載しています
症例① 29歳 女性
他院手術歴 27歳時:OPEN法鼻尖縮小(鼻尖埋没のみ)&小鼻縮小術 28歳時: OPEN法鼻尖縮小(鼻尖埋没のみ)&耳介軟骨移植術 |
希望デザイン 2度も鼻尖縮小をしたのに全く効果が無かったばかりか、右側の鼻尖に余計な凹凸ができて鼻孔も歪んできたので治したい。可能なら叶わなかった鼻尖部の縮小をやり直したい。 |
方法 鼻整形修正(耳介軟骨移植術の修正) 完全CLOSE法 鼻尖軟骨切除(両)+再移植 +多発性壊死耳介軟骨除去+肉芽・石灰化除去 |
Dr.コメント 鼻尖部の段差と硬化、不自然な膨らみと左右差の原因は、移植された耳介軟骨が壊死を起こして小断片が無数にあり、線維や肉芽だけでなく進行した石灰化を生じていたことと、2回に跨る鼻尖埋没のために生じた鼻尖軟骨の割裂でした。可能な限り癒着層を剥離して全て除去しましたが、鼻尖の高さと鼻孔の形状を保つため一部の鼻尖軟骨は再移植しました。 |
鼻整形・形成修正でのNG手術とは?
※ページ最下段 美容整形Dr.選びのNG例とは?に加えて
- OPEN法や外側切開法を薦められる or 希望していない手術を薦められる
- シリコンやゴアテックス、リフト糸の挿入・異種動物軟骨移植を勧められる
- 耳介や肋軟骨(粉砕しても凸凹・拘縮・石灰化リスク有)移植を勧められる
- 貴方の鼻の皮膚伸展度に合わない程の挿入物を希望または挿入される
- 硬くなった壊死軟骨や癒着、肉芽等をそのままにした状態で修正される
- 抜去と同時にヒアルロン酸や脂肪注入(漏出変形リスク有)を薦められる 等、どれか一つでも当てはまれば申し込まずに思い留まって下さい!
症例② 26歳 女性
他院手術歴 21歳時:プロテーゼ挿入&耳介軟骨移植術 24歳時:プロテーゼ入替手術 |
希望デザイン 鼻先端の皮膚が薄く白くなり、痛みが出てきた。プロテーゼを抜いて、シリコンを使わないで鼻スジの歪みも鼻先の不自然な膨らみと硬さも治したい。 |
方法 鼻整形修正(プロテーゼ抜去&耳介軟骨移植術の修正) 完全CLOSE法 プロテーゼ抜去&他院挿入耳介軟骨除去+生着組織片の再移植 |
Dr.コメント シリコンと自己組織のハイブリッド手術では、接触断端での自己組織への血流遮断による壊死を想定しなければなりませんが、この症例の場合鼻尖部側断端にセパレート挿入されていた生着組織片があったことが幸いし、鼻尖の高さを保つためトリミングして再移植しました。御本人曰く「仕上りが自然で傷も全く見えないので、友人にバレなくて済み大変満足です。斜めだった鼻筋が真直ぐになりました」とのことです。 |
鼻整形・鼻形成で失敗されるとこうなります!
鼻中隔を切断するオープン法、または鼻翼外側に傷をつける手術、シリコンやゴアテックス・豚軟骨の移植、自己耳介軟骨や肋軟骨移植術を勧められた場合、その担当医がどんなに名医で有名でも、或いは過去の症例実績がどれほど素晴らしく自然で美しく見えたとしても、決してその様な手術は受けないで下さい。有名医師や鼻専門の医師の術後でさえ当院で鼻形成後の修正をした方の中には、当院の術前初見において、元よりも著しく醜形となっていた方が数多くいらっしゃいます。
症例③ 68歳 女性
他院手術歴 48歳時:鼻骨切り手術、浅側頭筋膜移植 49歳時:鼻中隔耳介軟骨移植 50歳時:耳介軟骨移植(右) 66歳時:鼻スジへの脂肪注入 67歳時:鼻翼Z形成 |
希望デザイン 鼻根部の幅を少し広げて鼻スジを高くしたい。 鼻尖部の幅を少し減少して少しの括れをつくりたい。 |
方法 鼻整形修正(耳介軟骨移植術の修正) 完全CLOSE法 鼻尖軟骨切除&再移植・壊死耳介軟骨除去 +肉芽・石灰化除去&シュアダーム挿入 |
Dr.コメント この症例は、過去に鼻の形成手術を何度も受けていたため、温存されていた筈の鼻尖軟骨も両側共に粉砕されていて、20年前の浅側頭筋膜も18年前の耳介軟骨も壊死または萎縮や断片化の所見がありました。術前写真で多少光沢感(テカリ)がある鼻尖部が硬化している箇所で、外見以上に内部がかなり複雑でした。 |